交感神経を遮断

エクリン汗腺から汗を分泌する働きは、交感神経が司っています。
そのため、多汗症の治療では、交感神経を部分的に遮断する手術が用いられることがあります。
この手術は、正式には「胸腔鏡下交感神経節遮断術」と呼ばれます。手術と言っても、内視鏡を使って行うので、メスで大きく切開する必要はありません。そのため、体への負担は小さいといえるでしょう。この手術は、多汗症治療の専門病院や、ペインクリニック科のある病院などで受けることができます。

多汗症を治療する時には、第二肋骨あるいは第三肋骨の位置に内視鏡を入れ、胸部交感神経にアプローチします。完全に遮断する方法のほか、クリップで留める方法もあります。
汗をかけという信号を伝達する道筋を遮断するので、その効果は早く確実に現れます。手術が終わったその瞬間から、手のひらに汗をかかなくなるほどです。また、手のひらだけでなく、顔面、首筋、胸などのあせもかきにくくなります。

手のひらの汗をかきにくくなれば、もう、ノートやプリントが汗でヨレヨレになる心配はありません。また、相手に不快な思いをさせることなく、堂々と握手することができます。
顔に汗をかきにくくなれば、メイクが落ちにくくなるというメリットがあります。そのため、ヨーロッパでは、舞台俳優がメイクを崩れにくくするために、この手術を受けることがあります。
ただし、この手術には、代償性発汗という副作用があります。これは、手術によって発汗が抑えられた部分の汗が、体の他の部分から分泌されるということです。つまり、手のひら、顔面、首筋、胸などの汗が、他の部分へしわ寄せされるということです。
個人差はありますが、この手術を受けると、たいていの人に代償性発汗が現れます。そのため、手術を受けるかどうかは、医師とよく相談して決めることが大切です。